「自分らしく生きたい」
そう思っていても、
実際には私たちは、知らず知らずのうちに
自分の気持ちよりも、周りの期待や常識を優先してしまうことがあります。
本当は違うと思っているのに、
その場を丸く収めるために「大丈夫」と言う。
本当は疲れているのに、
「まだ頑張れる」と自分に言い聞かせる。
本当はもう違和感を感じているのに、
「ここまで続けてきたから」と同じ場所に留まり続ける。
けれど、
そうした小さな嘘が積み重なっていくと、
少しずつ自分が何を感じているのか、
何を望んでいるのかがわからなくなっていきます。
だから私は、
自分に嘘をつかない。
正直に生きる。
ということを、とても大切にしています。
自分に正直に生きるとは、わがままになることではない
「自分に正直に生きる」と聞くと、
好きなことだけをすること。
嫌なことはすべて断ること。
自分の気持ちをそのまま相手にぶつけること。
そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。
でも、私が考える「自分に正直に生きる」は、
少し違います。
自分の気持ちを無条件に優先することではなく、
まず、自分が本当はどう感じているのかを、自分自身が無視しないこと。
それが始まりです。
「私は今、嫌だと感じている」
「本当は少し休みたい」
「以前は好きだったけれど、今はもう違う」
「私は本当はこちらを選びたい」
そんな内側の声を、
なかったことにしない。
そのうえで、
現実とのバランスを考えながら、
自分でどうするかを選んでいく。
それが、自分に正直に生きることだと思っています。
人は、いつも本音どおりに動けるわけではない
現実には、
自分の気持ちだけでは決められないこともあります。
仕事。
家族。
お金。
責任。
人間関係。
さまざまな事情がある中で、
すぐには動けないこともあるでしょう。
だから、
「本音に気づいたなら、すぐに全部変えなければいけない」
という話ではありません。
大切なのは、
今すぐ変えられるかどうかよりも、
自分の本音を自分がわかっていること。
たとえば、
「今はここにいる必要がある。でも、本当はずっとここにいたいわけではない」
そうわかっているだけでも、
自分の中では大きく違います。
自分の本音を否定している状態と、
本音を理解したうえで現実的なタイミングを待っている状態は、
似ているようでまったく違います。
後者には、
自分自身とのつながりがあります。

自分への嘘は、小さな違和感から始まる
人生が大きくズレるときも、
最初から大きな違和感があるとは限りません。
「まあ、いいか」
「仕方ないよね」
「みんなそうしているし」
「私が我慢すれば済むから」
そんな小さな積み重ねから始まることがあります。
もちろん、
譲ることや我慢すること自体が悪いわけではありません。
誰かと生きていく以上、
多少の調整は必要です。
けれど、
いつも自分だけが我慢する。
いつも自分の気持ちを後回しにする。
いつも周りの正解を優先する。
それが当たり前になってくると、
自分自身との距離が少しずつ遠くなっていきます。
そしてある日、
「私は本当はどうしたいんだろう」
と、わからなくなることがあります。
だからこそ、
大きな決断をする前に、
日常にある小さな違和感を無視しないことが大切なのだと思います。
昔の自分にまで、合わせ続けなくていい
自分に嘘をつく相手は、
周りの人だけではありません。
ときには、
「過去の自分」に合わせようとしてしまうこともあります。
以前は、
これが好きだった。
以前は、
こういう人生を望んでいた。
以前は、
この仕事を続けたいと思っていた。
だから今もそう思わなければいけない。
でも、人は変わります。
経験を重ねれば、
大切にしたいものも変わる。
置かれている環境が変われば、
望む生き方も変わる。
以前の自分には必要だったものが、
今の自分には必要なくなることもあります。
それは、
ブレたということではありません。
変化した自分に正直でいるということ。
昔決めたことを守り続けるより、
今の自分が何を感じているのかを見つめ直す。
それもまた、
自分に嘘をつかずに生きるということなのだと思います。
正解より、自分が納得できる選択を
人生には、
誰かが決めてくれる正解がないことがたくさんあります。
仕事を続けるか。
辞めるか。
結婚するか。
しないか。
どこに住むか。
誰と付き合うか。
何を大切にして生きるか。
どちらを選んでも、
得るものと失うものがあります。
だから私は、
「どちらが正しいか」
だけではなく、
「私はどちらなら、自分で納得して生きられるか」
を大切にしたいと思っています。
たとえ結果が思った通りにならなかったとしても、
自分で考えて、自分で選んだことなら、
その経験は次の選択につながっていきます。
人生は、
一度も間違えずに進むことではなく、
自分で選び、
必要なら修正しながら進んでいくもの。
私はそう思っています。
心と身体は、自分より先に気づいていることがある
頭では「大丈夫」と思っていても、
心や身体は違う反応をしていることがあります。
なぜかわからないけれど、気が重い。
その人に会うと、ひどく疲れる。
その場所へ行くことを考えるだけで、身体が緊張する。
反対に、
理由は説明できないけれど、安心する。
こちらのほうが自然な感じがする。
不思議と肩の力が抜ける。
そんな感覚もあります。
すべてを感覚だけで決める必要はありません。
けれど、
頭で考えた正解だけを信じて、
心や身体の反応をずっと無視していると、
どこかで無理が生まれます。
自分に正直に生きるためには、
思考だけではなく、
心や身体が何を感じているのかにも耳を傾けること。
それも大切なのだと思います。
自分に嘘をつかない生き方は、派手ではない
自分に正直に生きるといっても、
人生が突然劇的に変わるわけではありません。
むしろ、
変化はとても小さなところから始まります。
今日は無理をしすぎない。
本当は嫌だったことを認める。
違和感のある誘いを一度断ってみる。
好きだったものが変わったことを受け入れる。
少し休む。
今までとは違う選択肢を考えてみる。
そんな小さな選択の積み重ねです。
けれど、
その一つひとつによって、
少しずつ自分と現実のズレが小さくなっていきます。
無理をして誰かになろうとしなくてもいい。
誰かの人生を生きなくてもいい。
外側の正解に自分を合わせ続けなくてもいい。
自分が今、何を感じているのか。
何を大切にしたいのか。
どんな人生なら、自分で納得できるのか。
そこへ何度でも戻ってくる。
それが、
自分の人生の主導権を自分へ戻すことでもあります。

何か大きな決断をする必要はありません。
まずは、
「私は本当はどう感じている?」
と、自分に聞いてみること。
そして、
出てきた答えをすぐに否定しないこと。
すべては、
そこから始まるのだと思います。
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