サビアンシンボルには、黄道360度のそれぞれに異なる象徴的な情景が与えられています。
そこに描かれているのは、
人や動物、自然の風景、日常の一場面、ときには少し不思議に感じられる光景です。
初めてサビアンシンボルに触れたとき、
「この情景にはどんな意味があるのだろう?」
「どうやって自分自身のことと結びつければよいのだろう?」と感じる方もいるかもしれません。
サビアンシンボルを読み解くうえで大切なのは、象徴の意味を暗記することではありません。
描かれている情景を丁寧に観察し、その奥にあるテーマや変化の流れを理解していくこと。
そして、その象徴がホロスコープのどこに位置しているのかを考えることで、
解釈はさらに深まっていきます。
今回は、サビアンシンボルを自分自身でも読み解けるようになるための、
基本的な視点と考え方をご紹介します。

サビアンシンボルは「象徴の物語」として理解する
サビアンシンボルには、360度それぞれに短い情景が描かれています。
例えば、そこに「旅人」が登場していたとしましょう。
旅人という言葉からは、移動、探索、未知の世界への好奇心、
あるいは自分の居場所を探すことなど、さまざまな意味を連想できます。
しかし、旅人がどこにいるのか、何をしているのか、
どのような状況に置かれているのかによって、情景全体の意味は変わってきます。
旅立とうとしているのか。
目的地に到着したところなのか。
それとも、途中で立ち止まっているのでしょうか。
同じ旅人であっても、そこには異なる物語が存在します。
サビアンシンボルも同じです。
登場する人物や物だけを取り出して意味を決めるのではなく、
情景全体が何を表現しているのかを感じ取ることが大切です。
また、象徴は現実に起こる出来事をそのまま示しているわけではありません。
例えば「船」が登場したからといって、
必ずしも旅行や船に関わる仕事を意味するわけではないのです。
その船が象徴するものは、移動かもしれませんし、人生の転換期、
未知の世界へ向かう意志、あるいは何かを運ぶ役割かもしれません。
このように、文字どおりの意味だけではなく、背景にある心理的・象徴的な意味を考えていきます。
サビアンシンボルを読み解くための6つの基本視点
① まずは情景をそのまま観察する
最初から意味を探そうとするのではなく、そこに何が描かれているのかを丁寧に見ていきます。
人物が登場しているのか、自然の風景なのか。
何かが動いているのか、それとも静止しているのか。
一人なのか、誰かと関わっているのか。
また、情景からどのような雰囲気を感じるでしょうか。
穏やかさ、緊張感、喜び、不安、期待など、そこから受け取る印象も解釈の手がかりになります。
この段階では、無理に占星術的な意味へ結びつけなくても構いません。
まずは一つの絵画や物語に触れるように、象徴そのものを観察すること。
それが読み解きの出発点です。
② 登場するものの関係性に注目する
次に考えたいのは、象徴の中に登場する人物や物が、どのような関係にあるのかということです。
例えば、誰かが何かを教えている場面であれば、
そこには知識の伝達、経験の共有、学びといったテーマが考えられます。
複数の人物が協力している情景なら、共同作業や相互理解が一つの視点になるでしょう。
一方、一人で何かに取り組んでいる場面なら、
自立、集中、内面的な探求などが浮かび上がるかもしれません。
ただし、一人でいることが孤独を意味するとは限りませんし、
集団でいることが調和を意味するとも限りません。
大切なのは、その情景における関係性や行動を見つめることです。
③ 何が始まり、何が変化しているのかを考える
サビアンシンボルは、一つひとつが独立した象徴であると同時に、
360度を通して連続する発展のプロセスとして読むこともできます。
そのため、象徴の中にどのような変化が表現されているかを考えることが重要になります。
例えば、
- 何かが生まれようとしている
- 新しい世界へ踏み出している
- 経験を積み重ねている
- 周囲との関係を築いている
- これまでの価値観を見直している
- 一つの段階を終え、次へ進もうとしている
こうした変化の方向性に目を向けると、単なる情景から、成長や発展のテーマが見えてきます。
その象徴は、どのような状態から、どのような状態へ向かおうとしているのか。
この問いは、サビアンシンボルを深く理解するための大切な手がかりになります。
④ 肯定的な面と課題の両方を見る
サビアンシンボルには、美しく穏やかな情景だけではなく、
緊張感のある場面や、少し不安を感じさせる象徴も登場します。
しかし、印象が明るいから良いシンボル、暗いから悪いシンボルというわけではありません。
例えば、何かが壊れる情景があったとしても、
それは必ずしも喪失や失敗を意味するとは限りません。
古い仕組みが役割を終えることや、
これまでの考え方から自由になることを象徴している可能性もあります。
反対に、成功や達成を思わせる情景であっても、
その状態を維持しようとする執着や、次の成長への課題が含まれているかもしれません。
どのような象徴にも、さまざまな側面があります。
その象徴が持つ可能性と、そこから生まれる課題の両方を考えることで、解釈に奥行きが生まれます。
サビアンシンボルは、良い未来や悪い未来を決めつけるためのものではありません。
自分自身の中にある可能性や、
成長の過程で向き合うテーマを理解するための手がかりとして捉えていきましょう。
⑤ サインと度数の流れを合わせて読む
サビアンシンボルを理解するときには、
その象徴がどのサインの何度に位置しているのかも重要です。
同じような情景が描かれていたとしても、
牡羊座と天秤座では、その背景にあるテーマは異なります。
牡羊座なら、自発性や自己の確立、何かを始める力。
天秤座なら、他者との関係性やバランス、相互理解といったテーマが関係してくるでしょう。
また、各サインの30度は、単に30個の象徴が並んでいるわけではありません。
一つのサインの性質が、さまざまな経験を通して発展していく過程として読むことができます。
その発展を理解する方法の一つが「5度グループ」です。
5度ずつのまとまりに注目することで、
現在の象徴がそのサインのどのような成長段階にあるのかを考えやすくなります。
一つのシンボルだけでは意味を掴みにくい場合も、
前後の度数や5度グループのテーマを確認することで、理解が深まることがあります。
関連記事:サビアンシンボルの5度グループとは?|象徴の発展と成長のプロセス

⑥ ホロスコープ全体との関係を考える
サビアンシンボルは、出生図や新月・満月図など、さまざまなホロスコープで活用できます。
ただし、同じシンボルであっても、
どの天体や感受点に対応しているかによって、解釈の焦点は変わります。
例えば、出生図の太陽であれば、自己表現や人生を通して育てていく方向性。
月であれば、感情や安心感、本能的な反応。
水星であれば、思考や学習、コミュニケーション。
金星であれば、価値観や喜び、人との関わり方。
このように、天体が象徴する機能と、サビアンシンボルが描く情景を組み合わせて考えます。
さらに、ハウスやアスペクトなども含めて読むことで、
そのテーマが人生のどのような領域に表れやすいのかを検討できます。
サビアンシンボルは、ホロスコープのすべてを説明するものではありません。
出生図全体の理解を補い、
天体や感受点の意味に、もう一つの象徴的な視点を加えるものとして活用するとよいでしょう。
実際のサビアンシンボルを読み解いてみよう
ここでは、牡羊座1度のサビアンシンボルを例に考えてみましょう。
牡羊座1度「海から上がった女性と、彼女を抱くアザラシ」
このシンボルには、海から姿を現した女性と、その女性を抱くアザラシが描かれています。
まず、情景をそのまま観察してみます。
女性は水の中から姿を現しています。
海は、生命の源や、まだ形になっていない可能性を連想させます。
そこから現れる女性の姿には、
新しい存在の誕生や、これまでとは異なる世界へ踏み出す動きが感じられます。
一方、女性を抱くアザラシは、水の世界とのつながりを象徴しているようにも見えます。
ここから、いくつかのテーマが浮かび上がります。
誕生・始まり・可能性・未知の世界への一歩・慣れ親しんだ状態からの変化。
さらに、この象徴が牡羊座の最初の度数にあることも重要です。
牡羊座は、黄道12サインの始まりに位置するサインです。
自分自身の存在を確立し、新しい経験へ踏み出す力を象徴します。
その牡羊座の1度に、海から現れる女性の姿が描かれていることは、象徴的なつながりを感じさせます。
まだ自分の輪郭がはっきりしていなくても、何かが生まれようとしている。
新しい世界へ向かう可能性が、少しずつ形になろうとしている。
そのような成長の始まりとして解釈することができます。
ただし、これは一つの読み方です。
同じ象徴から、慣れ親しんだ環境への愛着や、
新しい世界へ進むことへの戸惑いを読み取ることもできるでしょう。
大切なのは、どれか一つを唯一の正解とするのではなく、
象徴全体からどのようなテーマが浮かび上がるかを考えることです。
出生図ではどのように読み解く?
出生図では、天体や感受点が位置する度数のサビアンシンボルを確認することで、
その天体が持つテーマを象徴的に考えることができます。
例えば、先ほどの牡羊座1度に太陽があった場合。
太陽が象徴する自己表現や人生の方向性に対して、
「新しい可能性を切り開く」「自分自身の存在を確立していく」といったテーマを重ねて考えられるでしょう。
一方、月が同じ度数にあれば、感情や安心感という観点から解釈します。
新しい環境へ踏み出す気持ちと、慣れ親しんだ場所に安心を感じる気持ち。
その両方をどのように受け止めていくのか、という心理的なテーマが見えてくるかもしれません。
同じ象徴でも、天体の性質によって注目する部分が異なるのです。
また、出生図では一つの天体だけを切り離して判断するのではなく、
サイン、ハウス、アスペクトなどを総合的に捉えることが大切です。
新月・満月図ではどのように読み解く?
新月や満月のサビアンシンボルは、
そのタイミングのテーマを象徴的に理解する際に活用できます。
新月では、太陽と月が重なる度数のサビアンシンボルを確認します。
そこに描かれている象徴を通して、新しいサイクルで何を意識し、
どのような方向へ進んでいくのかを考える手がかりにできます。
新月を意図設定のタイミングとして捉える場合にも、
その象徴は自分自身に問いかける視点を与えてくれるでしょう。
一方、満月では太陽と月が向かい合っています。
そのため、月の位置するサビアンシンボルだけでなく、
向かい側にある太陽のサビアンシンボルも確認すると、二つの象徴が持つ関係性を考えることができます。
例えば、一方が個人の意思を、もう一方が他者との関わりを連想させる象徴であれば、
その二つのテーマをどのように調和させていくのか、という視点が生まれるかもしれません。
ただし、新月や満月のテーマはサビアンシンボルだけで決まるものではありません。
実際のホロスコープにおける天体配置やアスペクト、サインの性質なども含めて、
総合的に読み解いていきます。
サビアンシンボルを読むときに気をつけたいこと
一つのキーワードだけで意味を決めない
サビアンシンボルの解説には、象徴の意味を簡潔にまとめたキーワードが添えられていることがあります。
キーワードは理解の助けになりますが、それだけで象徴全体を表現できるわけではありません。
例えば「変化」という言葉でも、何かを始めるための変化なのか、
積み重ねた経験によって生まれる変化なのかで意味が異なります。
そのため、キーワードだけではなく、情景そのものを確認する習慣を持つことが大切です。
解説文を絶対的な答えにしない
サビアンシンボルには、マーク・エドモンド・ジョーンズやデーン・ルディアをはじめ、
さまざまな研究者や占星術家による解釈があります。
同じ象徴でも、解説者によって注目する部分や、重視するテーマが異なることがあります。
これは、必ずしもどちらかが間違っているということではありません。
象徴には複数の意味の層があり、異なる角度から捉えることができるためです。
まずは情景そのものを理解し、さまざまな解説を参考にしながら、
自分自身の理解を深めていくとよいでしょう。
無理に現実の出来事へ当てはめない
サビアンシンボルを読むときには、実際の出来事と結びつけたくなることもあるかもしれません。
しかし、象徴と現実を一対一で対応させる必要はありません。
ある象徴が「別れ」を連想させるとしても、必ず誰かとの別れが起こるわけではありません。
それまでの考え方から離れることや、古い習慣を見直すこととして表れる可能性もあります。
また、象徴から受け取った意味が、すぐに理解できるとは限りません。
時間をかけて経験を振り返ることで、以前とは違う意味が見えてくる場合もあるでしょう。
象徴を現実に当てはめるのではなく、象徴を通して現実を見つめ直す。
この視点を持つことで、サビアンシンボルをより柔軟に活用できるようになります。
自分で読み解くための5つのステップ
サビアンシンボルを調べるときには、次の順番で考えると整理しやすくなります。

対象となる天体や感受点の度数を調べ、対応するサビアンシンボルを確認します。
誰が、どこで、何をしているのか。どのような雰囲気や関係性が描かれているのかを見つめます。
情景から連想できる心理的な意味や、成長、変化の方向性を整理します。
そのサインの性質や、5度グループ、前後の度数との関係を考えます。
どの天体や感受点に対応するのか、どのハウスに位置しているのか、ほかの天体とどのような関係にあるのかを踏まえて理解を深めます。
最初からすべてを読み解こうとする必要はありません。
まずは情景を見て、自分なりに感じたことや気づいたことを書き留めておくだけでも、
象徴への理解を深めるきっかけになります。
まとめ|象徴を通して、自分自身への理解を深める
サビアンシンボルは、360度それぞれに描かれた象徴を通して、
人間の意識や経験、成長のプロセスを考えるための占星術的な体系です。
そこには、一つの言葉だけでは表現しきれない、多様な意味が含まれています。
大切なのは、正しい答えを急いで探すことではなく、描かれている情景を丁寧に見つめること。
何が起こっているのか。
どのような変化が表現されているのか。
その象徴を通して、自分自身のどのような側面に気づけるのか。
こうした問いを重ねることで、サビアンシンボルは単なる度数の解説ではなく、
自己理解を深めるための一つの視点となっていきます。
同じ象徴であっても、
人生の経験や置かれている状況によって、受け取る意味が変わることもあるでしょう。
だからこそ、象徴を一度で理解しきろうとする必要はありません。
人生のさまざまな場面で象徴を見つめ直し、
そのときの自分自身にとっての意味を考えていくこと。
それもまた、サビアンシンボルを学ぶ楽しさの一つなのだと思います。
















